| アルプスの少女ハイジ HEIDI (実写版) |
この物語のテーマはそれだけではない。愛や友情、そして信仰の大切さ等々、心に問い掛けるものは多い。ハイジのおじいさんへの愛、ペーター、クララへの友情、そして望郷。おじいさんの愛と信仰、そして人の嫉妬や猜疑心にいたるまでこの物語は描いている。しかし、何と言ってもこの物語の魅力は、その美しいストーリーや自然にあるのではないだろうか。ハイジやおじいさんをはじめ個性的な登場人物や、緑のアルプやアルプスの夕焼け等、美しい自然描写。本当に大人から子供まで感動させる物語だと思う。 実際に舞台となったマイエンフェルトに行ってみると、映画で描かれているような高い山はなく、おじいさんがハイジに名前を教える山、ファルクニスさえもそんなに高い山ではない。しかし、牧歌的な村の雰囲気はこの物語が書かれた当時そのままのようだ。この映画はマイエンフェルトと同じグラウビュンデン州の有名なリゾート、サン・モリッツで撮影されたものだ。 私がこの映画を見たのは私がまだ小学生の時で、教室の椅子を運び込んだ学校の講堂での上映だったことを覚えている。その時の印象として強烈に残っているのは、ハイジが山を見ようとフランクフルトの教会の塔に登り、都会の街並しか見えず何処にも山がなかったシーンだ。淋しそうなハイジの横顔が私の心に強く残っている。 都会での生活に窒息していくハイジの姿は、そのまま我々現代人にあてはめてみる事が出来ないだろうか?生活はどんどん便利になってはきたが、そのぶん自然との距離はますます離れていくばかりだ。それどころか自然を破壊し、取り返しのつかない状況になろうとしている。山にやって来たクララが健康を取り戻し歩けるようになるが、自然こそが人を癒してくれるのだ。今こそ我々もハイジのように自然に帰る時ではないだろうか。 |
| アルプスの少女ハイジ HEIDI (アニメ) |
言わずと知れたジャパニメーションの傑作。1974年1月から1年間、全52話からなるテレビアニメーションを再構成したのがこの作品だ。企画からテレビ放映まで7年もの歳月をかけた。テレビアニメのためにスイスやドイツのフランクフルト等に1年あまりもロケハンに行くなど、当時としては考えられない型破りな製作現場だったようだ。作品中に登場するデルフリ村は、実際にモデルとなったマイエンフェルト郊外の「オーバーロッフェル村」よりもハイジの作品にマッチしていると思う。すばらしく美しい山々、素朴な村の様子、フランクフルトのリアルな街並等。確かにこの作品の背景画は非常に美しく、臨場感がある。今では押しも押されぬ名アニメーション作家であり監督の宮崎駿氏が、場面構成として参加し、膨大な仕事を一人でこなしたというのも有名な話だ。 渡辺岳夫氏の音楽がまたすばらしい。メロディーが心に呼びかけ物語をより盛り上げてくれる。個性的なキャラクターも魅力的で、声優陣がそれを見事に演じている。テレビ放映時とこの作品とでは声優に若干の変更がある。特に気がつくのはペーターの小原乃里子女史から丸山裕子女史、クララの吉田理保子女史から藩 恵子女史への変更だ。どちらも甲乙つけがたく、それぞれの個性が出ていてまた少し違ったものになっている。 原作では、クララの車椅子をペーターが嫉妬のあまり潰してしまうのだが、この作品中にはその事はまったく出てこない。テレビアニメではクララが誤って坂に落とし壊してしまうのだが・…。私はいかにも日本的と思うのだがいかがなものだろうか。アリとキリギリスのラストが日本ではキリギリスはアリに助けられるが原作では雪の中で凍えて死んでしまうのと似ているような気がしてならない。子供に対して悪いものは見せない方が良いのかもしれない。 しかし、この作品については多くを語らずとも良いだろう。世界中で上映され、スペイン児童アカデミー賞、西ドイツ(上映当事はまだ西と東に分かれていた)ではゴールデン・ベア賞、ゴールデン・バンビ賞等の賞に輝き、世界中の国々でハイジの顔は自国の少女の顔であると賞賛された。日本でも確かにハイジの顔は私たち日本人に見えるのだが、どうだろうか。とにかく、何だかんだ言っても私はこの作品が大好きである。 |

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